自滅する捕鯨 (オーストラリアの反捕鯨は保守か革新か)

元記事作者様シートン俗物記



既視感のある風景。

・捕鯨めぐり日豪ネット摩擦 YouTube動画にコメント1万5000件(IT media News)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0801/09/news061.html

動画は「白豪主義オーストラリアと反捕鯨」というタイトルで約10分間。豪州の人種差別問題やディンゴ(野犬の一種)の虐殺などについて画像や動画を、英語と日本語の解説文入りで紹介し、「豪州は日本人への差別意識から日本の捕鯨に反対している」などと批判している。


・捕鯨問題で「豪批判」動画 YouTubeで日豪サイバーバトル(J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2008/01/08015346.html

動画の内容は、日本の調査捕鯨に猛烈に反発する豪州政府の方針などを痛烈に批判するもので、豪州での人種差別暴動やディンゴやカンガルーといった動物の虐殺映像を使って、豪州人が持つ日本人や捕鯨への「差別」を克明に描いたものだ。

そこでは、人種差別運動の様子、殺されるディンゴ、白人男性がカンガルーの母親のお腹の袋から赤ちゃんカンガルーを取り出して足で踏みつぶす様子、さらには「鯨のフルコース」を注文した日本人男性が銛で刺し殺されるCMなどが流され、「次の犠牲者は日本人ですか?」「豪州は最も多くの動物を殺す国だ」「カンガルー殺しは残酷じゃないの?」といったメッセージが添えられている。


こういう事を忘れたのだろうか。

・「従軍慰安婦」問題 「20世紀最大の人権蹂躙」なのか(J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2007/06/27008781.html

この「自爆」行為によって、世界各国での非難決議をアシストする事になったのだが、今回は捕鯨で同じ状況に陥る事となっている。
捕鯨に関しては、拙ブログでも何回か取り上げているので、そちらにも目を通して頂くとして

・「白豪主義オーストラリアと反捕鯨」
http://www.youtube.com/watch?v=e8lvep0-Ii0


の何が問題なのか示していこう。
まず、核心をついてしまうが、

・反捕鯨を明確にした豪労働党(と緑の党)は、白豪主義に批判的で、野生動物・環境保護に(比較的)熱心

ということ。
逆に、いままで政権の座に就き、アメリカ(というかブッシュ)や日本との協調体制に執心していた豪自由・国民党連合が、白豪主義に迎合的で、野生動物・環境保護に不熱心、なのである。

労働党や緑の党はマルチカルチャリズム「多文化主義(多民族主義)」を標榜しており、かつて豪労働党が政権にあった時、移民、とりわけイスラム文化圏からや華僑、に対する警戒感から保守的な層の反発により政権の座を譲ることになる。
ハワード政権はオーストラリアの保守的な層に支持を受けており*1その保守層は日本の捕鯨に熱心に反対するような事はなかった。たぶん、親和的というより無関心だったのだろう。彼らの多くは「地球温暖化問題」にも熱心ではなく、オーストラリアの野生動物保護にも興味が薄い。ディンゴ*2を害獣と捉える農民や牧場労働者、牧場主のほとんどは保守層だ。

*1:オーストラリアの保守的な人々は、ビックリするほど保守的
*2:ディンゴは厳密には外来種

逆に、労働党や緑の党のシンパは、民族差別に反対し、オーストラリア先住民*3の権利獲得に手を差し延べ、温暖化対策で各国との協調を望んでいる。

*3:アボリジニというのは好まない

つまり、反・反捕鯨のために、オーストラリアの人種差別や野生動物捕殺を非難するのは「誤爆」なのである。保守的なオーストラリア人にとっては寝耳に水だったろう。なにせ、自分たちに言いがかりを付けてきているようにしか取れないのだから。
もちろん、豪リベラル層にとっても言いがかりには違いがない。

しかも、カンガルー殺し、なんてあちらでも誰もが行うようなマネじゃない。
たとえば、コネコ殺しの画像があったとして、日本人は誰もがネコ殺しだろうか。

探偵ファイル/スパイ日記
http://www.tanteifile.com/diary/special/kiji.html

カンガルー殺しの映像のあとに、女性がバーベキューを食べている映像を差し込むなど、ひどいモンタージュ。悪質と云って良い。
何のことはない、今まで捕鯨問題に興味の薄かった豪保守層さえも敵に回すことになるのだ。
いいかげん、本気でクジラが食べたいわけでもないくせに、“迫害されるボク”に酔いしれるためのつまらないマネをするのは止せ。勝手に“日本人代表”を騙るのをやめろ。迷惑なんだよ、ボケ。



管理者コメント
「シートン俗物記」の管理人様の検証に感謝。本文の説明にもある通り、そもそもオーストラリアで日本の捕鯨に反対しているのは野生動物保護や環境保護を訴え白豪主義を批判する左派・リベラル派なのであって、白豪主義に迎合的な右派・保守派ではないのだ。日本のウヨクや捕鯨擁護派はここを根本的に勘違いしている。

こういった勘違い人間たちが「オーストラリアは日本の捕鯨に文句を言うのに白人国家のノルウェーやアイスランドの捕鯨には文句を言わないから人種差別を動機として日本の捕鯨に反対している」とする言い掛かりをつけるわけだが、日本の捕鯨が取り立てて非難を受ける本当の理由は日本だけが世界で唯一、今現在も南極海のクジラ保護区で大量にクジラを捕獲しているためだ。それを人種差別の問題にすり替えるのはお門違いも甚だしい。

日本のウヨクはこのように差別でないことを差別にすり替えて考える思考回路を他でもない自分自身が持っているからこそ、日本国内のマイノリティに対しても「差別でないことを差別とでっち上げている」という目で見てしまうのだろう。
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タグ: 捕鯨問題, オーストラリア, 動物, 環境保護, 人種差別, 誤爆・自爆, YouTubeのトンデモ動画,

[ 2012/06/30 ] 捕鯨問題