トンスル、その他の漢方薬関連の無知を基にした嫌韓差別都市伝説の考察

元記事作者様誰かの妄想・はてな版



最近(でもないか)の嫌韓バカのお気に入りは「韓国人は食糞が文化」などというデマ。

年間250万人の旅行客が日韓間を行き来するこのご時世*1に、そんなデマを信じる奴がいるのかねぇ・・・。とか思うのだが、いるようである。

*1:日本と韓国の間の旅行客数の推移 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7100.html

今回はホンタク、トンスル、野人乾水、について調べてみた。

(珍説にも記載→珍説24・人糞を食するのは朝鮮の文化|誰かの妄想


ホンタク


以前は、ガンギエイという「エイの切り身を人糞に漬け込んで発酵させた料理」*2というデマが流されていた。

*2:http://blog.goo.ne.jp/mpac/e/4aba204bd01800448deb3f509a492d75

さすがに最近は、まともな情報が出てきて嫌韓バカの主張がデマであることが知られてきた*3

*3:人糞説に拘るバカは後を絶たないが・・・。最後には人糞じゃないということを証明しろとか言い出す始末・・・。

で、ホンタクとは、ホンオフェ(洪魚膾・エイ刺身)とタクチュ(濁酒・マッコリ)の組み合わせのこと。

ホンオフェはテレビでも臭い食べ物として紹介され*4よく知られるようになったためか、なかなか嫌韓バカのデマは通じにくくなったのだろう*5

*4:2004年7月 http://www.ntv.co.jp/wrs/renewal/ranking/20040704/01.html
*5:ひょっとしたら、逆にテレビの内容を改ざんしてネットに広めた

さて、人糞説というデマがなぜ発生したかと言うと、ホンオフェの作り方に起因する。

ホンオフェはエイの刺身を醗酵させて作るのだが、その醗酵のために堆肥の熱を利用している。最近は刺身を入れた壷を堆肥の中に入れるようだが、昔は藁に包んで堆肥に入れていたようだ。つまり納豆と似た製法になっている。

ちなみに堆肥は人糞、牛糞などを使っているので同じことだ、と主張する嫌韓バカもいるが、ホンタク用の堆肥は主に松葉や米糠を使っている*6堆肥は排泄物を使うとは限らない。

*6:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A7

さてこの堆肥だが、韓国語では「トン똥」と言い漢字にすると「糞」になる。つまり韓国語の「トン똥(糞)」には、日本語と同じく「糞」という意味もあるが「堆肥」という意味もあるわけだ*7

*7http://hanja.naver.com/search?query=%EB%98%A5

と言うより「糞」という漢字の字源は「畑にばら撒くもの」なので、意味としてはむしろ「堆肥」の方が近かったりする。

もう分かるだろうが、韓国語で「トン똥」と書かれた堆肥のことを人糞と勘違いしたどっかのバカが広めたのが、人糞説の発端だったわけ。

嫌韓バカは韓国をバカにするための格好の材料として、このネタに飛びつき、ろくに検証もせずにネット上に広めて回った。と、こういうことだろう。


参照

http://blog.goo.ne.jp/mpac/e/4aba204bd01800448deb3f509a492d75


トンスル


こちらはホンタクより最近のネタ。「スル」は酒のこと。「トン-スル」で想像つくだろうが「糞酒」というのこと。嫌韓バカが触れ回っている”大便をふんだんに入れた酒”というのはデマ。

入り口を塞いだ竹筒を大便の中に浸し長時間置き、中に滲み出てきた液体をとって酒に入れたものが「トンスル」である*8

*8:http://www.gnnews.co.kr/index.html?section=KNJK&flag=detail&code=173716&cate1=KNJ&cate2=KNJK

液体の成分が何なのかはよく分からないが、大便由来なのは間違いなかろう。

ここで、やはり韓国人は食糞の文化を持っている!とはしゃぐのは早計。

漢方に詳しい人は気づいたかもしれないが、この液体をとるまでの製法は「人中黄」という漢方薬とほとんど同じなのだ。李時珍の「本草綱目」で「糞清」と呼ばれるものがこの液体であろう*9

*9http://mayanagi.hum.ibaraki.ac.jp/LecRep/04/TextInterp2.html

「人中黄」については、トリビアの泉でも紹介されたので有名だと思うが、このように説明されている。

No.117  漢方薬には人間のウンコから出来たものがある

~確認VTR~

・人間のウンコから出来た漢方薬があるという 富山医科薬科大学 薬学博士 小松かよ子さんはこう語る

 Q.人間のウンコから出来た漢方薬がある?

 「確かにあります。人糞を加工した薬を解熱、解毒剤にしています」

・人間のウンコから出来た漢方薬「人中黄」 何故そんなものが体に効くのか?

 人中黄にさらに詳しいという難波先生を紹介して頂いた。

・ウンコから出来た漢方薬に詳しい 難波恒雄先生

 Q.何故ウンコから出来た漢方薬が体に効く?

 「これは1500年程前からずっと使ってきた経験で良いという事が分かっているので本当に良いかどうかというのはまだ科学的には解明されていない。我々は毎日お米を食べてる。じゃあお米の何が効いているのかというのと一緒ですよね、分からない」

~補足トリビア~

1)「人中黄」は「甘草」という薬草の粉末を人糞に浸して作られた漢方薬

2)VTR中にあった「人中黄」は難波先生が中国のウイグルで手に入れたもので無臭である。

3)漢方薬の中には「人中白」という小便の固まりを日干しにして作られる薬もある。


http://s.freepe.com/std.cgi?id=mudachishiki&pn=18


日本人はそんな漢方薬を使っていない、とか言い出すバカもいるかも知れないので、日本の医学書を調べてみた。

江戸時代の医学書「用薬須知」の6巻(人ノ部)には「人中黄」が載っており、「大便ノ汁ナリ」という説明がついている。

製法については、「用薬須知続編」の3巻に載っており、大竹を切って一方の節を残し、大甘草を入れて円形の木片でこれを塞いで、隙間は蝋で埋める。これを糞の中に入れて一ヶ月おいて取り出し、乾かす。こうして出来たものが人中黄、とある。

「トンスル」の場合、大甘草に滲みこませて乾燥させるのではなく、竹筒内にしみでた液体を酒に入れて飲むという方法を取っているだけで、基本的には人中黄と同じ成分を取っていると言える。

ちなみに、李時珍の「本草綱目」には糞の薬としての使い方がたくさん載っており面白い。以下のサイトに現代語訳と共に乗っているので興味のある人はどうぞ。

参照:

http://mayanagi.hum.ibaraki.ac.jp/LecRep/04/TextInterp2.html


野人乾水


朝鮮国王が野人乾水という人糞を使った薬を服用したという記録がある。

中宗(チュンジョン)は高熱が出た際、解熱剤として「野人乾水」を食べた。「野人乾」というのは人糞だ。ドラマ『大長今(宮廷女官チャングムの誓い)』の背景になった中宗後半から景宗(キョンジョン)のときまでは御医が明の医学の影響を受けて王の疾病治療の原因究明を重視するようにしたほか、特に壬辰の乱(文禄の役)後、鍼灸術が発達し、内医院での治療に広く使われた。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=66867&servcode=400&code=400


これ自体は事実だが、前述の通り、江戸時代日本でも人糞を使った薬を用いているので、だから?としか言いようがない。

ちなみにこの「野人乾水」の製法も「用薬須知続編」に載っている*10

*10:2巻

野人乾水 後編獣部ニ出ス所ノモノト別ナリ 此養鶏ノ方ニ出ツ 道三家ニ野人乾水ハ竹筒ニ糞水ヲ盛リ泥水中ニ置クコト久ヲ経テ中清水トナルヲ取用ユト


乾燥した人糞を水に溶き長期間置いて透明になった上澄みが「野人乾水」。日本にもあった漢方薬で「本草綱目」にも似たような記載があります。


用薬須知続編に載ってる変な薬の事例


「本草綱目」とそう変わらないだろうが、日本でも現在の感覚から理解できないものを薬として使っていたことを知っておくのは無益ではなかろう。

「用薬須知続編」2巻にある薬

  • 「尿滓」(小便ノカスナリ)

  • 「男子屎尖」(男ノ屎ノ尖リノ端)

  • 「熱糞堆」(アツキ人ノ糞ノ重ナリタルモノ)

  • 「焼人糞」(ヤキタル人ノ糞)


  • ここまでが人の排泄物関連。

  • 「頭垢」(アタマノフケ)

  • 「交余」(交接ノ時拭タル布ナリ 一名精余ト云フ)


  • フケとかナニとか。

  • 「人龍」(人が吐き出した回虫のこと)


  • 寄生虫まで薬にするってのはすごいなぁ、と思う。あと、名前だけ見るとかっこいい。


    まとめ


    そもそも日中韓は同じような文化圏に属するわけで、韓国に変な文化があるぞ、と笑っていると、日本にも似たような文化があったりする。笑った人は、相手国の文化を理解できないのみならず自国の文化すら理解していない無知をさらけ出しているわけで、結局は自分が笑われることになる。教訓じみてるなぁ。


    時期の問題とか言いそうな人に対するおまけ

    戦後、日本に進駐した米軍兵士が日本野菜をサラダにして食べたところ、寄生虫に感染するものが多数発生したため、マッカーサーは激怒して、「「寄生虫がいるなんてなんて不潔な国だ!今すぐ人糞肥料の使用を中止させろ!」と日本政府に迫ったそうです。慌てた日本政府は「寄生虫予防会」を各市町村に作り、人糞肥料から化学肥料へと一大転換が行われたのです。」

    *11

    *11http://www.naturalharmony.co.jp/trust/koramu/3sarada-kinenbi.html


    おまけ2

    韓国は現在でも使っているから異常だ!とか言いそうだが、韓国人に嫁いだ日本人女性のブログは噂話程度の内容だし、その他は30年以上前の話ばかり。

    じゃあ、日本ではどうなの?と言うと、似たような話があったりする。

    「落し紙以前」(斉藤たま、論創社、2005)には、東北の一地方では便器の内側についたカスを虫歯の穴につめる民間治療があったり、病気の子供を治すために牛糞でくるむ話があったり、「トンスル」同様の方法でとった「糞清」?を病気の治療に使う話などが紹介されている。

    まあ、そもそも日本でも韓国でも、排泄物を「汚い」とみなすようになったのは歴史的には割と最近だったりするわけで・・・。*12

    *12:人糞を肥料として使っていた日本では、人糞の取り合いで大喧嘩になったりしてる。

    mujinさん流に言うなら、お前の尻も赤いぞ、ってこと。*13

    *13:http://d.hatena.ne.jp/mujin/20090515/p1



    管理者コメント
    「誰かの妄想」の管理人様の検証に感謝。嫌韓の中でも特に低レベルな連中が好んで使う嫌韓デマが「食糞は韓国・朝鮮の文化」というものだが、もちろん実際にはそんなことはない。「ホンタク」はそもそも人糞とは無関係であるし、「トンスル」も人糞そのものを入れているのではなく「糞清」と呼ばれる漢方薬を使って作られているというのが事実なのだ。いつの時世も、こういう排泄物ネタで他者を貶める者は品性下劣な輩と相場が決まっている。
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    タグ: 嫌韓, 韓国・朝鮮, 漢方薬, トンスル, ホンタク, 食糞, 文化差別, 民族差別, 誰かの妄想,

    [ 2012/06/28 ] 嫌韓の怪情報